ミツバチについて

日本で人間に被害を与える蜂は3種類あり、スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチです。この中で最も攻撃性が高くて危険なのはスズメバチですが、それに対しミツバチは刺激しない限り攻撃性は低い蜂で、野菜や果物などの受粉や蜂蜜の採取など、人間にとって有益な昆虫でもあります。
この記事ではミツバチの見分け方やその生態について説明をします。

ミツバチの見分け方

一番危険な蜂はスズメバチで次に危険な蜂はアシナガバチなので、見分け方と特徴を覚えておきましょう。スズメバチもアシナガバチもどちらも細身で腰がくびれています。足をダラリと下げてふらふらと飛んでいればアシナガバチで、直線的に飛んでいたらスズメバチと見ることができます。
それに対し、ミツバチは丸っこくてずんぐり形で、毛が全体に密生していることから、見分けのつきやすい蜂であると言えます。穏やかな性格なので、 相当強く刺激をしないと刺されることはありません。

ミツバチの特徴

蜂駆除

ミツバチの体長は10 mm から20 mm ほどです。黒っぽい胴体にはっきりとした黄色の縞模様が入っており、全体に毛が密生しています。非常に大きな集団で生活をします。
セイヨウミツバチとニホンミツバチの2種類があります。

ミツバチの生態

ミツバチは他の蜂とは違う特徴があります。それは女王蜂以外も越冬できることで、他の蜂よりも長生きするとも言えます。そのため他の蜂よりも早い2月頃から活動を始めます。
春から初夏にかけて新しい女王蜂が生まれると、古い女王蜂はたくさんの働き蜂を連れて新しい巣を作ります。これを分蜂と言います。その途中に街路樹や庭木に大量に集まることがあります。巨大な巣ができてしまったのではないかと驚くことがありますが、何もしなければ刺されることはありません。半日から2日でいなくなるので。見つけてもそのままにしておいた方が良いでしょう。
攻撃性が低く穏やかな性格のミツバチですが、10月から11月、また2月から3月あたりの越冬の前後の時期には攻撃性が高くなります。巣に近づいたら刺してきたり集団で襲ってくることもありますので、この時期は注意をしましょう。
また一つの巣の中に数千から数万匹生息するという、大集団での生活が特徴です。

ミツバチの攻撃性

蜂駆除

ミツバチは性格が大人しく、巣に近づいたり、刺激を与えたり、直接触れたりしなければ、攻撃して人を刺すことがありません。
毒はスズメバチやアシナガバチよりも弱いですが、毒針や毒液は仲間を呼び寄せるフェロモンが含まれているために、一匹に刺されると集団に襲われる危険性があります。ミツバチの針にはかえしがついているため、針を刺されるとなかなか抜けません。針が残っている間は毒が体内に回ってしまう危険性がありますし、その間に他の蜂が襲ってくることがあります。刺された場合は、毒針を指やリムーバーで抜き、水で刺された部分を洗ったりして臭いを消しましょう。
なお、針はミツバチの体内と繋がっていて、針を刺すとミツバチは死んでしまいます。

ミツバチの巣の特徴

日本国内に生息するニホンミツバチとセイヨウミツバチの巣の色はクリーム色や黄色で、巣を作る場所は天井裏や戸袋、木の空洞や床下などの閉鎖空間に、大きな巣を作ります。
巣を作る場所を決めると、働き蜂は腹部から分泌する白い蜜蝋を口でかみくだき、唾液と混ぜて巣を作ります。
巣は大きな楕円状で、ぶら下がった状態になっており、「巣板」と呼ばれる六角形の巣穴がびっしりと並んだ板のような形状が特徴的です。巣に外壁はなく、板が下に垂れていくような形をしており、多くは働き蜂が表面に密集しています。空間いっぱいに剥き出し状態で作っていきます。
ミツバチの巣は、板状の巣が何枚も重なって大きくなり、大きなものには1メートルほどにもなります。 ミツバチはスズメバチと比べれば駆除時の危険性は低いもの、巣が大きいため、大量の蜂蜜やミツバチの死骸の処理が必要となるため、厄介です。

ミツバチの種類

日本には、東南アジアに分布しているトウヨウミツバチの一種であるニホンミツバチと、セイヨウミツバチの2種類が生息しています。
ニホンミツバチは名前の通りの在来種で、胴体が黒っぽく、体は小さめなのが特徴です。セイヨウミツバチは養蜂のために輸入された外来種で、胴体がニホンミツバチよりも黄色っぽく、体も一回り大きくなります。
日本にはミツバチを襲うオオスズメバチがいます。ニホンミツバチは対抗策を持っていますが、セイヨウミツバチは対抗策がなく、絶滅させられてしまいます。そのため野生のセイヨウミツバチはいません。

ニホンミツバチ

本州から九州に分布する日本の在来種で、体長は12 mm ほど。色は暗い茶褐色で、腹部に縞模様があり、セイヨウミツバチより全体的に黒っぽく、体表や足に長い毛があります。
草花の蜜や花粉を集め、巣は数年間使用されます。性質は穏やかですが、女王蜂が死んだ時や、農薬が巻かれた時、また寒い時期は攻撃性が高まります。

セイヨウミツバチ

セイヨウミツバチは蜜の採取や花粉の媒介の為に飼われていることが多く、明治時代に養蜂のために移入され、今では全国で広く飼われ、野生化しています。体長は12 mm から20 mm 程度。黒い胴体に、はっきりとした縞模様を持ち、毛が全体に密生しています。
一年中活動をし、巣は軒下や屋根裏に作られます。他の種類の蜂の巣が1年だけ使われるのに対し、ミツバチの巣は何年も続き、一つの巣の中には数千から数万匹が生息しています。
攻撃性は低くおとなしい性質で、襲われることは少ないですが、刺激をすると集団で攻撃をしてくることがあります。巣箱の移動時や農薬散布時などに、刺されることが多いです。

ミツバチの分蜂について

春から初夏にかけてのシーズンに、蜂が大量に群れており、「怖い」とか「気持ち悪い」と言った苦情が、自治体などに届くことがあります。これはミツバチの分蜂というミツバチの引っ越し行動になります。軒先以外でも家の外壁や電柱や信号機など、様々な場所で見ることができます。これは一時的なものですし、ミツバチはもともとおとなしい性格ですが、分蜂の時はさらにおとなしくなっています。早ければ数時間で移動しますし、そっとしておけば大きな害はありません。殺虫剤などを噴射するとかえって蜂を興奮させてしまい危険ですので、分蜂の時のミツバチはそっと見守るようにしてください。

ミツバチの巣は一匹の女王蜂と複数の働き蜂からできています。
春から夏にかけての繁殖期に、蜜を集める場所がなかったり、新しい巣を作る場所がなかったりすると、一つの巣に新しい女王蜂が生まれ、古い女王蜂がたくさんの働き蜂やオス蜂を連れて出て行きます。これを分蜂といいます。ミツバチなどの社会性の昆虫にとって、 分蜂は群れを増やす方法として重要な役割を持ちます。

分蜂は5月から夏にかけての天気の良い日のお昼頃に始まります。その勢いはまるで巣箱から水が流れ出るかのようで、およそ10メートルから20メートル四方に1万匹以上のミツバチが飛び交いながら、ゆっくりと目的の場所に向かっていきます。その様子を初めて見ると本当に驚いてしまうことが多いですが、引っ越しの際に一時的に留まっているだけで、しばらくすると巣を作るのに適した場所に移動してしまいます。
また分蜂巣時のミツバチは満腹状態になっていて、全く刺す気がなくなっています。よくミツバチの関係の写真で、ミツバチを体や顔などに大量にとまらせているものを見たことがあるかと思います。これを蜂髭と言い、分蜂の時期のミツバチの習性を使ったものになります。